<平野早矢香選手のカット打ち ~平成20年度全日本卓球選手権>(2009/01/26)

平成20年度全日本卓球選手権女子シングルスのチャンピオンは、
ご存知、平野早矢香選手です。

決勝の相手は、日本に帰化した中国出身の王輝選手。
彼女は、直前の全日本社会人選手権で優勝しています。

テレビの紹介では、中国の代表選手で団体戦のメンバだったとか。
広い守備範囲と一撃必殺の攻撃を兼ね備えたカットマンです。

石川佳純選手をストレートで下した絶好調の福原愛選手を、王輝選手は
問題なく破り決勝に進出しました。ここまで1セットも落としていません。
完璧な勝ち上がりと言っていいと思いまス。 (^^;

国内最強のカットマンを平野選手は果たしてどうやって攻略したのか?

今号では、その点を取り上げてみたいと思います。


・・・・・
試合は最終第7セットまでもつれるのですが、作戦が一貫していましたネ。

私には以下の三点に思えました。

  1.相手のバックに徹底的に粘る。
  2.コースに変化をつける。
  3.ドライブの回転に変化をつける。



では順番に解説しますネ。

まず1.ですが、これは、試合を観た人には明らかですネ。

とにかく徹底的にバックに粘っていました。

王輝選手はバック面に表ソフトラバーを貼っています。そして、バックカットが得意です。

事実、20本以上続くラリーが何本もありました。
普通の選手ならばまず取れない平野選手のバッククロスへの強打も、
打たれ強い王輝選手は、何本も返球していました。

では、何故、平野選手は、王輝選手の得意なバックにボールを集めたか?

それは王輝選手のバックが表ソフトラバーだからです。
このラバーのマイナス面は、自分から変化をつけることが難しいことです。
変化の幅がツブ高ラバーほど大きくないのです。

平野選手からすれば、自分の掛けたドライブの回転量により、どの程度の
切れ具合のカットボールが返ってくるかが予め分かってしまうのです。

こうして平野選手は、まず自分のリスクを減らしたワケです。


次に2.ですが、チャンスボールをどこへ打つのか、ということです。

試合の前半では、カットが浅いチャンスボールがありました。
これを平野選手は王輝選手のミドルへ強打していました。

ミドルはカットマンの泣き所です。特にフォアミドルは非常に返球が難しい。   ← 重要!

決め球をミドルに集めることで、平野選手は得点を重ねました。

しかし、王輝選手の様な一流のカットマンに対し、
ワンバターンの攻撃では、いずれ慣れられ、拾われてしまいます。

平野選手もその辺りは心得ていて、相手のバックにも強打していました。

つまり、フォアに来たボールはフォアストレートに、
バックに来たボールはバッククロスに強打です。

カットマンからすれば、相手のフォアに浅くカットが入った時は、
通常フォアで待ちますから、逆を突かれた形になります。

平野選手がバッククロスに打つ時は、必ずシュート回転を掛けていました
身体から逃げていくので、カットマンにとっては取りにくいボールです。

いずれも王輝選手は、やりにくかったハズです。

さらに試合の後半で、平野選手は強打をフォアへ持って行きました。

今までさんざんミドルやバックに打たれていたところに、
いきなりフォアへ打たれるのですから王輝選手も面喰らったはずでス。

最後には、これらのコースがミックスされました。

打たれるコースが3つあると、カットマンはヤマが張れないです。
必然的にフォアミドルへの待ちが甘くなります。


最後に3.ですが、平野選手はナックルドライブを非常に巧く使ってました。

ナックルドライブとは、掛けたフリをして実は掛けないドライブです。
これは、男子のチャンピオンの水谷選手も時々やりますネ。

表ソフトラバー(や、ツブ高ラバー)は、このナックルドライブを
取るのが非常に難しいのです。

つまり、回転の変化に弱いのでス。     ← 重要!

王輝選手がカットをネットに引っ掛けたのは、このナックルボールのせいなのでス。

そしてナックルを意識し出したところへ、回転の掛かったドライブが来るので、
カットにオーバーミスが出ました。

いわゆる「相乗効果」です。 ← 本メルマガで何度も取り上げています!

バックへ粘るのを基調にして、コースと回転の変化を加える。
頭で考えることは出来たとしても、なかなか実践は出来ないものでス。



7ゲーム目の序盤で2本のエッジボールが王輝選手についた時、
観ている誰もが思ったのではないでしょうか?

勝負あったか、平野選手もここまでか、と。

スコアは、1-6。どう見ても絶望的な展開です。

ところが、ギッチョンチョン!        ← 出た!(笑)

ここからが凄かった。

平野選手は一瞬がっかりした表情を見せましたが、
すぐにいつもの強気の顔に変わりました。

ある種の決意みたいなものを、OBUは感じました。

コースの変化、回転の変化で、6-6まで追い上げました。
特にフォアへの攻撃が見事でしたネ。とても効いていました。

王輝選手からすれば、6-1とリードした時に、1本攻撃が欲しいところでした。
ま、これは結果論ですが、ネ。 (^^;

試合の終盤では促進ルールに入り、その影響がどうでるか?

そんな不安をよそに、平野選手は自分のやるべきことを最後までやり抜き、
最後はナックルドライブで王輝選手のミスを誘い得点しました。

長い、長い戦いにケリを付けたのでス。


//-------------------/
   OBU’S EYE ★彡
/-------------------//      シャキーン! ← 効果音
平野選手はオリンピックで韓国のカットマンに歯が立ちませんでした。
「カット打ちが課題」と言われていたのでス。

それを短期間で見事に克服したと言っていいでしょう。

作戦も良かったし、持てる力を全て出しきった試合でした。

彼女は、最高の舞台で最高のパフォーマンスをやってのけたのでス。

勝利が決まった瞬間、天を仰ぎ、涙する平野選手の胸中は
どんなものだったのでしょう!

平野選手、ホントにおめでとう!!  (^o^)/~

そして、・・・・ 感動をありがとう!!

 

 

 

 

 

2010.06.09 00:00 | Comments(0) | Trackback(0)


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